田原市の畑で採れたキャベツが、翌朝には東京の飲食店の厨房にある。市場を通さない流通を、農家の側から作った女性経営者の話。
実家は代々の農家でしたが、継ぐ気はありませんでした。豊橋の会社で営業をしていて、農業は儲からないものだと思っていたからです。畑に戻ったのは29歳。父が腰を悪くして、一時的に手伝うつもりでした。
出荷したキャベツが、東京のスーパーで4倍の値段で売られていました。差額のほとんどは流通に消えている。それ自体は当たり前のことなんですが、こちらは値段を決められない立場で、天候のリスクだけ全部背負っている。この構造を変えないと一生変わらないと思いました。2013年に法人化して、飲食店への直接販売を始めました。
今は東京・名古屋の飲食店120店と直接契約しています。前日の夕方に採って、翌朝には厨房にある。価格はこちらが提示します。畑ごとの収量、天候、土壌の数値を全部記録していて、6年分のデータがあります。農業は勘の世界だと言われますが、勘は記録した人にしか身につきません。
18人のうち11人が新規就農者です。実家が農家ではない人たち。この人たちが独立していける仕組みを作りたい。田原は日本有数の農業地帯なのに、若い人が入ってこない。それは農業がきついからではなく、生活の見通しが立たないからです。見通しを作るのが経営者の仕事だと思っています。
MESSAGE / これから入る人へ
農業をやりたいというより、食べるものを作る仕事に興味がある、くらいの気持ちで来てくれて構いません。うちは全員そこから始めています。
最終更新:2026年7月15日 / 取材・編集:みかわ社長図鑑編集部
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